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施設選び

老人ホームや施設に入居後の生活適応と家族の関わり方|高齢者施設選びの基本⑧

親や家族が老人ホームや介護施設に入居すると、本人はもちろん、家族にとっても大きな環境の変化となります。新しい生活への適応をスムーズにし、入居者の心身の健康を維持するためには、入居後の家族の関わり方が非常に重要です。この記事では、入居直後の不安を和らげる方法や、家族ができるサポートについて具体的にご紹介します。

入居直後の不安と対応策

長年住み慣れた家から環境が一変する施設入居は、高齢者にとって大きなストレスとなります。特に入居直後は、不安や混乱を感じやすい時期です。この時期を乗り越えるためのポイントをご紹介します。

入居者によくある不安と感情:

  • 「家に帰りたい」という思い
  • 知らない環境への不安や恐怖
  • 家族に捨てられたという誤解や怒り
  • 自分で決められないことへのストレス
  • 見知らぬ人との共同生活への緊張

家族ができる対応策:

  • 入居前に複数回施設を訪問し、環境に少しずつ慣れる機会を作る
  • 入居日は家族がゆっくり付き添い、スタッフとの関係づくりをサポートする
  • 使い慣れた家具や写真、思い出の品など、安心感を与えるものを居室に置く
  • 施設でのスケジュールや生活の流れを家族も理解し、声かけに活かす
  • 「試しに住んでみる」という前向きな声かけをする
  • 必ず戻ってくることを伝え、頻繁に面会する約束をする

特に認知症のある方の場合、環境の変化による混乱(環境性せん妄)が起きることがあります。「今までと違う」ということが理解できず、不安や怒りを表すことがあるため、入居直後は特に家族の支えが必要です。

施設側と協力して「安心できる環境づくり」を心がけ、本人のペースで少しずつ新しい環境に慣れていけるよう見守ることが大切です。

定期的な訪問の重要性

施設に入居した後も、家族の定期的な訪問は入居者の精神的な支えとなります。ただし、訪問の頻度や時間帯、内容にも工夫が必要です。

定期的な訪問のポイント:

  • 可能な限り訪問頻度を一定にする(例:毎週日曜日など)
  • 訪問する曜日や時間帯を事前に伝え、待つ楽しみを作る
  • 短時間でも頻繁な訪問は長時間の不定期訪問よりも効果的
  • 複数の家族でローテーションを組み、途切れない訪問を心がける
  • 面会時間が限られている場合は、食事や入浴などの時間を避ける
  • 季節の変わり目には衣類の入れ替えなど、実用的な目的も含める

面会時には、本人の体調や様子を観察するとともに、施設スタッフとコミュニケーションを取り、日頃の様子を確認することも大切です。「家族がちゃんと見ている」という姿勢を示すことで、施設側のケアの質も維持されやすくなります。

また、直接訪問できない場合は、電話やビデオ通話、手紙など、他のコミュニケーション手段も積極的に活用しましょう。近年はオンライン面会に対応している施設も増えています。

施設スタッフとの良好な関係構築

入居者にとって最良のケアを実現するためには、家族と施設スタッフの良好な協力関係が欠かせません。一方的な要求や不満を伝えるのではなく、互いの立場を尊重した関係づくりを心がけましょう。

良好な関係を築くためのポイント:

  • 入居時に本人の生活歴や好み、習慣を詳しく伝える
  • スタッフの努力や良い対応には感謝の言葉を伝える
  • 小さな不満はその場で冷静に伝え、解決策を一緒に考える
  • ケアプラン作成や見直しには積極的に参加する
  • 施設のルールや業務の流れを理解し、無理な要求は避ける
  • 行事やイベントには可能な限り参加協力する
  • 定期的な情報交換の機会(面談など)を持つ

特に重要なのは、「家族だからこそ知っている情報」をスタッフに伝えることです。例えば、「○○と呼ばれるのを好む」「特定の音や状況に不安を感じる」「好きな話題や活動」など、本人の個性や好みに関する情報は、個別性の高いケアにつながります。

また、施設側からの連絡や相談には迅速に対応することも、信頼関係構築の基本です。緊急連絡先の変更があった場合は必ず伝え、長期間連絡が取れない状況は避けるようにしましょう。

家族ができるサポートと境界線

施設に入居したからといって、家族の役割がなくなるわけではありません。ただし、施設のケアを尊重しながら、家族だからこそできるサポートに焦点を当てることが大切です。

家族ができるサポート:

  • 精神的な支え(訪問、会話、思い出話など)
  • 季節の衣類や日用品の管理・補充
  • 趣味や楽しみの提供(好きな本、音楽、写真など)
  • 外出の機会の提供(体調や施設の許可範囲内で)
  • 誕生日や記念日などの特別な日のお祝い
  • 本人の希望や体調の変化を施設に伝える「代弁者」の役割

一方で、施設のケアや運営に過度に介入することは、かえって混乱を招くことがあります。特に以下のような点は、専門職の判断を尊重することも大切です。

専門職に任せるべき領域:

  • 介護技術や医療的ケアの方法
  • 他の入居者との関係調整
  • 施設のスケジュールや日課の変更
  • スタッフの配置や業務分担

家族のサポートと施設のケアの「良いバランス」を見つけることが、入居者にとって最適な環境づくりにつながります。無理なく続けられる関わり方を見つけることが、長期的な支援には欠かせません。

入居後のよくある問題とその解決法

施設入居後には、様々な問題や課題が生じることがあります。よくある問題とその対処法についてご紹介します。

1. 帰宅願望への対応

  • 問題:「家に帰りたい」と繰り返し訴える
  • 解決策:否定せず気持ちを受け止める、話題を変える、思い出の品を増やす、外出の機会を作る

2. 他の入居者とのトラブル

  • 問題:同室者や他の入居者とのトラブルや不満がある
  • 解決策:双方の性格や生活習慣を考慮した対応を施設と相談、必要に応じて居室変更の検討

3. 身体機能の低下

  • 問題:入居後に活動量が減り、身体機能が低下する
  • 解決策:リハビリへの参加促進、外出の機会を増やす、居室でもできる運動の提案

4. 食事量の減少

  • 問題:慣れない食事で食欲が低下する
  • 解決策:好みの食べ物を伝える、時には外食や差し入れで変化をつける、栄養士との相談

5. 認知症の進行

  • 問題:環境変化をきっかけに認知機能の低下が進む
  • 解決策:生活リズムの安定化、なじみの物や写真を増やす、定期的な刺激の提供

6. 施設への過度の依存

  • 問題:すべてを施設に任せきりになり、家族の役割が薄れる
  • 解決策:定期的な面会と役割分担の明確化、家族でしかできないサポートを意識する

これらの問題に共通するのは、「施設と家族の協力」が解決の鍵となるということです。問題が小さいうちに施設側と情報共有し、一緒に解決策を考えることが大切です。


施設での生活は、入居者本人にとっても家族にとっても大きな変化です。最初は戸惑いや不安があっても、時間をかけて少しずつ新しい環境に慣れていくことができます。大切なのは、「施設に任せきり」にするのでも「過度に干渉する」のでもなく、適切な距離感でサポートし続けることです。

家族の愛情と施設の専門性が協力することで、入居者の安心で豊かな生活が実現します。それぞれの強みを活かした関わり方を見つけ、新しい生活のステージを支えていきましょう。


※入居後の関わり方やトラブル対応でお悩みの際は、尾形老人ホームアドバイザーにご相談ください。介護現場での経験を活かし、家族と施設の良好な関係づくりをサポートいたします。年中無休で8時〜20時まで対応しておりますので、お仕事帰りのご相談も可能です。

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